「何をすれば、人生は変わるのだろう。」
そう考えたとき、人はすぐに行動を探そうとする。
何時に起きればいいのか。
どんな本を読めばいいのか。
どんな習慣を身につければいいのか。
何時間働けばいいのか。
何を勉強すればいいのか。
もちろん、行動は大切だ。
けれど、その前に考えてみたいことがある。
あなたは、どんな人間になりたいだろう。
行動より先に、「自分」を決める
たとえば、「毎日、本を読む」という目標を立てたとする。
最初の数日は続くかもしれない。けれど忙しくなったり、疲れたり、気分が乗らなくなったりすると、少しずつ元の生活へ戻っていく。
これは珍しいことではない。「行動」だけを変えようとしても、なかなか長くは続かない。
そこで、少し考え方を変えてみる。
「毎日本を読む」ではなく、「私は、学び続ける人間だ」と考えてみる。
「週5回運動する」ではなく、「私は、自分の身体を大切にする人間だ」と考える。
「もっと仕事を頑張る」ではなく、「私は、自分が決めたことを最後までやる人間だ」と考える。
やることを決めるのではなく、自分がどんな人間なのかを決める。
これが、Identity(自己像)という考え方だ。この記事では、以降「自己像」と呼ぶ。
誰も見ていなかったら、どう生きたい?
ここで、一つ想像してみてほしい。
お金もない。
肩書きもない。
SNSもない。
フォロワーもいない。
誰かに褒められることもない。
成功したと証明する必要もない。
両親も、友人も、世間も、あなたの人生について何も言わない。
そんな世界だったとしたら。
あなたは、どんな人間になりたいだろう。
これは意外と難しい質問だ。
「お金持ちになりたい」「有名になりたい」「成功したい」。そういった答えを一度すべて取り除いてみる。
その先に残るものは何だろう。
何を大切にしたいのか。
何を作りたいのか。
どんな人を助けたいのか。
どんな身体でいたいのか。
どんな仕事をしたいのか。
どんな時間を過ごしたいのか。
そして、自分自身を、どんな人間だと思える人生を送りたいのか。
「持っているもの」ではなく、「在り方」
人生について考えるとき、人は「持っているもの」に目を向けやすい。
年収。
家。
車。
仕事。
フォロワー。
資産。
肩書き。
もちろん、それらを求めること自体は悪いことではない。
けれど、それらは人生の外側にあるものだ。
もっと根本には、どういう人間として生きるのかという問いがある。
困難なことから逃げない人。
好奇心を失わない人。
約束を守る人。
身体を大切にする人。
家族との時間を大切にする人。
毎日何かを作る人。
失敗しても、もう一度挑戦する人。
知らないことを学び続ける人。
静かな時間を持つ人。
誰かの役に立つものを残す人。
こうしたものは、銀行口座の数字とは違う。
自分がどう生きたかによって、少しずつ形作られていくものだ。
自己像は、一日では変わらない
「今日から私はこういう人間だ」。そう宣言しただけで、人間が変わるわけではない。
大切なのは、その自己像に小さな証拠を与えていくことだ。
「私は学び続ける人間だ」と思うなら、今日10ページ読む。
「私は身体を大切にする人間だ」と思うなら、今日20分歩く。
「私は作る人間だ」と思うなら、今日何か一つ作る。
「私は約束を守る人間だ」と思うなら、今日決めた小さな約束を一つ守る。
一回では、ほとんど何も変わらない。
1日。
7日。
30日。
90日。
と証拠が積み重なっていく。
すると、あるとき、「こうなりたい」と思っていた理想の自己像が、「自分はこういう人間だ」に変わり始める。
自己像とは、自分に言い聞かせる言葉だけではない。
自分自身について積み上げてきた証拠でもある。
90日後の自分を想像する
少しだけ、未来を想像してみよう。
今日から90日が経った。
生活が完璧になっている必要はない。大金を稼いでいる必要もない。人生のすべての問題が解決している必要もない。
ただ、今より少し強くなっている。今より少し健康になっている。今より少し多くのことを知っている。
何かを作った。何かに挑戦した。いくつか失敗した。それでも続けた。
そんな90日だったとする。
そのときあなたは、自分自身について何と言いたいだろう。
「私は挑戦した。」
「私は逃げなかった。」
「私は作った。」
「私は続けた。」
「私は自分との約束を守った。」
それは、お金とは別の意味で大きな財産になる。
そして、その自己像が、その後の人生の行動を変えていく。
紙を一枚用意する
ここからは、読むだけではなく実際に考えてみよう。スマートフォンではなく、できれば紙とペンを用意する。
そして最初に、こう書く。
書き終わったら、最後に一つの文章を完成させる。
一つでもいい。三つでもいい。
「私は、毎日何かを作る人間だ。」
「私は、難しいことから逃げない人間だ。」
「私は、学び続ける人間だ。」
「私は、自分との約束を守る人間だ。」
大きな言葉である必要はない。むしろ、日常の中で証明できるものの方がいい。
今日、最初の証拠をつくる
自己像を決めたら、最後にもう一つだけやる。
今日、その自己像を証明する小さな行動を一つする。
「学ぶ人」なら、10ページ読む。
「健康を大切にする人」なら、20分歩く。
「作る人」なら、何か一つ作る。
「挑戦する人」なら、怖くて避けていたことを一つやってみる。
そして、その行動を記録しておく。
それが、「自分はこういう人間だ」という最初の証拠になる。
人生が変わる瞬間は、劇的なものとは限らない。
誰にも見られていない場所で、「自分はこう生きる」と決める。そして、その通りに小さく行動する。
そんな一日が積み重なって、人は少しずつ変わっていく。
90日後、あなたはどんな人間になっていたいですか?
そして今日、その人間になるための、最初の証拠を一つ残してみてください。