習慣を変えたいときに読む本。研究から選んだ6冊と、読むときの注意
約6分で読めます(目安)
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「今度こそ続ける」と決めて、三日で終わる。そんなとき、やる気を足すより先に、仕組みを知る本を開いてみる。
このサイトでは「システムのないゴールは、動かない」や「セルフイメージは、長期の行動を変える」で、習慣と自己像について書いてきた。その途中で読んだり、参照したりした本から、6冊を選んだ。
ただし、自己啓発の名著の中には、出版後の研究で「思ったより効果が小さい」と分かってきた考え方もある。この記事では、本の紹介と一緒に、その後の研究で分かった注意点も書いておく。
目次
悩み別の選び方
| こんなとき | まず読む本 |
|---|---|
| 新しい習慣が三日で終わる | ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣 |
| 誘惑に負けてしまう | スタンフォードの自分を変える教室 |
| 長い目標を続けられない | やり抜く力 GRIT |
| 「自分には向いていない」と思ってしまう | マインドセット「やればできる!」の研究 |
| なぜ変えられないのか、仕組みから知りたい | 習慣と脳の科学 |
| スマホやお菓子がやめられない | 快感回路 |
1. 小さな習慣を設計する
ジェームズ・クリアー / 牛原眞弓 訳 / パンローリング
『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』は、習慣を「きっかけ・欲求・反応・報酬」の流れとして捉え、それぞれを小さく設計し直す本だ。目標より先に「どんな人間になりたいか」を決めるという考え方は、このサイトの「あなたはどんな人間になりたいですか?」とも重なる。
「いつ・どこで・何をするか」を先に決めておく方法は、心理学では実行意図として研究されていて、94の研究を集めた分析で、目標の達成に中程度から大きい効果が示されている [1]。
注意:習慣が自動化するまでの期間は人と行動によって大きく違い、研究では18日から254日まで幅があった [2]。「21日で身につく」のような数字は、目安にしないほうがいい。
2. 意志力の使い方を知る
ケリー・マクゴニガル / 神崎朗子 訳 / 大和書房
『スタンフォードの自分を変える教室』は、スタンフォード大学の講義をもとに、誘惑や先延ばしとの付き合い方を、実験の紹介と小さなワークで進めていく本。自分が誘惑に負ける場面を観察するところから始めるので、読みながら試しやすい。
注意:本の中では「意志力は使うと減る」という研究(自我消耗)が紹介されている。ただ、その後に23の研究室で行われた大規模な追試では、効果はほとんど確認されなかった [3]。「意志力は有限だから温存する」という考え方は、言い切らずに読みたい。
3. 長く続ける力を考える
アンジェラ・ダックワース / 神崎朗子 訳 / ダイヤモンド社
『やり抜く力 GRIT』は、長期的な目標への情熱と粘り強さを「グリット」と呼び、才能よりも続ける力が成果に関わると論じる本。興味を育て、意図的な練習を重ねるという流れは、「システムのないゴールは、動かない」の考え方とも近い。
注意:88の研究をまとめた分析では、グリットと成果の関係は中程度より弱く、性格の「誠実性」とかなり重なっていた [4]。グリットは成功を決める唯一の力ではなく、続ける工夫の一つとして読むのがいい。
4. 能力についての思い込みを見直す
キャロル・S・ドゥエック / 今西康子 訳 / 草思社
『マインドセット「やればできる!」の研究』は、能力は固定されていると考える「硬直マインドセット」と、伸ばせると考える「しなやかマインドセット」の違いを描く本。「自分は続かない人間だ」という決めつけを見直したいときに読みたい。
注意:学業成績との関係を調べた2つのメタ分析では、マインドセットと成績の関係も、マインドセットを変える介入の効果も、全体としては小さかった [5]。考え方を変えるだけでなく、行動を変えることと組み合わせて使いたい。
5. 習慣を脳の仕組みから知る
ラッセル・A・ポルドラック / 神谷之康 監訳・児島修 訳 / みすず書房
『習慣と脳の科学』は、習慣が生まれる仕組みを脳神経科学と心理学から説明し、行動を変えるための研究を紹介する本。すぐ使えるコツより、「なぜ変えるのが難しいのか」を知りたい人に向いている。詳しくはこの本をすすめる理由に書いた。
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デイヴィッド・J・リンデン / 岩坂彰 訳 / 河出文庫
『快感回路』は、食べ物、お酒、ギャンブル、寄付まで、人が「気持ちいい」と感じる脳の仕組みを解き明かす本。やめたい習慣を、意志の弱さではなく仕組みから見直す入口になる。詳しくはこの本をすすめる理由に書いた。
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本を読むと、変わった気がする。でも、変わるのは行動を繰り返したあとだ。
読み終えたら、気になった方法を一つだけ選び、「いつ・どこで・何をするか」を書いて、今日1回だけやってみる。続かなかった日は、やめるのではなく、次の日に戻ればいい。
参考文献
1. Gollwitzer PM, Sheeran P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.
2. Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
3. Hagger MS, Chatzisarantis NLD, et al. (2016). A multilab preregistered replication of the ego-depletion effect. Perspectives on Psychological Science, 11(4), 546–573.
4. Credé M, Tynan MC, Harms PD. (2017). Much ado about grit: A meta-analytic synthesis of the grit literature. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 492–511.
5. Sisk VF, Burgoyne AP, Sun J, Butler JL, Macnamara BN. (2018). To what extent and under which circumstances are growth mind-sets important to academic achievement? Two meta-analyses. Psychological Science, 29(4), 549–571.
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