2026.10.06 / FOOD & SCIENCE

コーヒーは、本当に体に悪いのか

約5分で読めます(目安)

「コーヒーは胃に悪い」「飲みすぎると体に悪い」。一方で、「コーヒーを飲む人は長生き」という話も聞く。

どちらが本当なのか。研究をまとめたものと、公的機関の目安から整理すると、答えは「量と時間帯による」になる。

目次

研究をまとめると、「3〜4杯」で最もリスクが低かった

コーヒーと健康についてのメタ解析を200本以上集めて整理した研究(アンブレラレビュー)がある [1]。67の健康上の結果について、コーヒーを飲む量との関係を調べたものだ。

結論は、ふつうの量なら、おおむね安全で、害より益が多い可能性が高いというものだった。死亡や心血管疾患など、さまざまな結果でリスクが最も低かったのは、1日3〜4杯あたりだった。

ただし、これは「関連」で「効果」ではない

このまとめに含まれる研究の多くは、コーヒーを飲む人と飲まない人を追跡した観察研究だ。コーヒーを飲む人は、もともと健康だったり、生活習慣が違ったりする可能性がある。

だから「コーヒーを飲めば長生きする」とは言えない。言えるのは、「ふつうの量のコーヒーを飲んでいる人で、健康上のリスクが高いという結果はあまり見られなかった」というところまでだ。

POINT

コーヒーは「体にいい薬」ではない。でも、ふつうの量なら「体に悪い」と心配しすぎる必要もなさそうだ。

気をつけたい人もいる

同じ研究では、注意が必要な結果も出ている。妊娠中に多く飲むことは、低出生体重、早産、流産との関連が見られた。また、女性では骨折のリスクとの関連が見られた(男性では見られなかった) [1]。

妊娠中や授乳中の人、持病があって薬を飲んでいる人、カフェインで動悸や不眠が出やすい人は、量を控えるか、医師に相談したほうがいい。

カフェインの目安は、1日400mgまで

欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な大人なら、カフェインを1日400mgまで、1回200mgまでなら健康上の懸念はないとしている。妊娠中・授乳中は1日200mgまでが目安だ [2]。日本ではカフェインの摂取量の基準は決められていないが、食品安全委員会もこうした海外の目安を紹介している [3]。

コーヒー(ドリップ)のカフェインは、100mLあたり約60mg [3]。カップ1杯を150mLとすると約90mgになる。

目安カフェインドリップコーヒーなら
健康な大人の1日400mgまで150mLで4杯ほど
健康な大人の1回200mgまで150mLで2杯ほど
妊娠中・授乳中の1日200mgまで150mLで2杯ほど

エナジードリンクや緑茶、紅茶、チョコレートにもカフェインは入っている。コーヒーだけでなく、合計で考える。

見落としやすいのは、睡眠への影響

健康な12人を対象にした実験では、カフェイン400mgを寝る直前、3時間前、6時間前に飲んでもらったところ、6時間前に飲んだ場合でも、測定した睡眠時間が1時間以上短くなった。しかも本人は、眠りが乱れたことにあまり気づいていなかった [4]。

ただし、これは12人の小さな実験で、400mgはコーヒー4杯ほどにあたる多めの量だ。1杯でも同じことが起きるとは言えない。それでも、夜によく眠れないなら、午後の遅い時間のコーヒーを減らしてみる価値はありそうだ。

まとめ

コーヒーは、体に悪いと決めつけるものでも、健康のために飲むものでもない。量と時間を決めて、楽しむものだと思う。

豆やフィルター、デカフェをどう選ぶかは、コーヒーの選び方と淹れ方に分けて書いた。

参考文献

1. Poole R, Kennedy OJ, Roderick P, Fallowfield JA, Hayes PC, Parkes J. (2017). Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes. BMJ, 359, j5024. doi:10.1136/bmj.j5024

2. EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies. (2015). Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal, 13(5), 4102.

3. 食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」.

4. Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T. (2013). Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195–1200. doi:10.5664/jcsm.3170