2026.10.16 / FOOD & SCIENCE

どの食事法が、いちばんやせるのか。研究の答えは「続けられるもの」

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糖質制限、脂質制限、カロリー計算。新しい食事法を知るたびに、今度こそと思って始める。けれど数週間でやめてしまい、また次の方法を探す。そのくり返しの中で、ふと思うことがあります。結局、どれがいちばんやせるのだろう。

QUIZ人気の4つの食事法を1年比べた試験では、糖質を減らす食事法がいちばんやせた。答えを見る

×。はっきりした差はなかった。

アトキンス、ゾーン、ウェイトウォッチャーズ、オーニッシュの1年後の体重の変化は−2.1〜−3.3kgで、差ははっきりしなかった。減り方と結びついていたのは、どれだけ守れたかだった。

この問いには、実は何度も試験が行われています。人気の食事法をくじで割り振って1年追いかけた試験、糖質制限と脂質制限を600人あまりで比べた試験、そして48の試験をまとめた分析。3つの研究から、答えを確かめてみます。

目次

人気の4つの食事法を、1年比べた試験

2005年、アメリカの医学誌 JAMA に、ボストンで行われた試験が発表されました [1]。太り気味の大人160人を、くじで4つの食事法に40人ずつ割り振り、1年間追いかけたものです。

食事法(中身)1年後の体重の変化(平均)1年後まで残った人
アトキンス(糖質を減らす)−2.1kg53%
ゾーン(糖質・脂質・たんぱく質の割合をそろえる)−3.2kg65%
ウェイトウォッチャーズ(カロリーを減らす)−3.0kg65%
オーニッシュ(脂質を大きく減らす)−3.3kg50%

体重の変化は、途中でやめた人も含めて計算した値です。4つの食事法のあいだで、1年後の体重の減り方にはっきりした差は見られませんでした [1]。

差が出たのは、別のところでした。どの食事法でも、時間がたつにつれて守れる度合いは下がっていき、1年後まで試験に残った人は半分から3分の2ほど。やめた理由で多かったのは、「続けるのが大変すぎる」と「思ったほど減らない」でした。そして体重の減り方と結びついていたのは、どの食事法を選んだかではなく、自分で答えた「どれだけ守れたか」のほうでした [1]。

QUIZ糖質制限と脂質制限を609人で比べた試験では、遺伝子のタイプを調べれば、どちらでよりやせるかが分かった。答えを見る

×。手がかりにならなかった。

DIETFITS では、遺伝子のタイプもインスリンの出方も、どちらの食事法でよりやせるかの手がかりにはならなかった。12か月の体重の差は0.7kgだった。

糖質制限と脂質制限を、609人で比べると

「それは人気の食事法の話で、糖質と脂質のどちらを減らすかなら差が出るのでは」と思うかもしれません。2018年に同じく JAMA に発表された DIETFITS という試験が、ちょうどそれを確かめています [2]。

18〜50歳の太り気味の大人609人を、「健康的な脂質制限」と「健康的な糖質制限」にくじで分け、12か月追いかけました。どちらのグループにも、野菜を多くとること、砂糖や精製した穀物を減らすこと、加工の少ない食べ物を中心にすることが共通して指導されています [2]。

12か月後の体重の変化は、脂質制限が平均−5.3kg、糖質制限が平均−6.0kg。差は0.7kgで、偶然の範囲を超えるものではありませんでした [2]。

この試験では、「遺伝子のタイプやインスリンの出方によって、合う食事法が違うのではないか」も調べています。けれど、どちらも、どの食事法でよりやせるかを見分ける手がかりにはなりませんでした [2]。

ここまでの2つの試験

食事法の種類による差は小さかった。差が出たのは、続けられたかどうかだった。

48の試験をまとめると

1つや2つの試験では、たまたまということもあります。2014年の分析は、名前のついた食事法を比べた48の試験、合わせて7,286人のデータをまとめました [3]。対象は、糖質を減らすもの(アトキンス、サウスビーチ、ゾーン)、脂質を減らすもの(オーニッシュなど)、その中間のもの(ウェイトウォッチャーズ、ジェニー・クレイグなど)です。

結果は、どの食事法も「特に何もしない」より体重が減っていました。何もしない場合と比べた差は、6か月でおよそ8kg。12か月ではそこから2kgほど戻って、およそ6kgでした。食事法どうしにも統計上の差はいくつかありましたが、著者たちは、その差は小さく、やせたい人にとって大事な違いにはなりにくい、とまとめています [3]。

では、何で選ぶか

3つの研究を並べると、「どれがいちばんやせるか」という問いには、「大きな差はない」という答えが返ってきます。そして、差が出るのは「続けられたかどうか」でした。

だから僕は、選ぶときの問いを変えてみるのがいいと思っています。「いちばんやせるのはどれか」ではなく、「自分が1年続けられるのはどれか」。たとえば、次のようなことを先に考えてみる。

もう一つ、こうも考えています。食事法を何度も乗り換えてきたのは、選び方が下手だったからではなく、「続けられるか」という問いを、誰も最初に教えてくれなかったからかもしれません。続かなかった夜に、できなかったことばかり数えてしまうなら、スピノザの考え方を書いた記事も読んでみてほしいです。

まとめ

持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人は、食事を大きく変える前に医師に相談してください。

参考文献

1. Dansinger, M. L., Gleason, J. A., Griffith, J. L., Selker, H. P., & Schaefer, E. J. (2005). Comparison of the Atkins, Ornish, Weight Watchers, and Zone diets for weight loss and heart disease risk reduction: a randomized trial. JAMA, 293(1), 43–53.

2. Gardner, C. D., Trepanowski, J. F., Del Gobbo, L. C., et al. (2018). Effect of low-fat vs low-carbohydrate diet on 12-month weight loss in overweight adults and the association with genotype pattern or insulin secretion: the DIETFITS randomized clinical trial. JAMA, 319(7), 667–679.

3. Johnston, B. C., Kanters, S., Bandayrel, K., et al. (2014). Comparison of weight loss among named diet programs in overweight and obese adults: a meta-analysis. JAMA, 312(9), 923–933.

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