電車を待つ数分、寝る前の数分。気づくと、指がSNSを開いている。
見終わったあとに残るのは、少しの疲れと、少しの焦りだ。「人と比べるのを、やめることはできるのか」では、SNSは「上ばかりが見える場所」だと書いた。
では、見る時間を減らしたら、何かが変わるのだろうか。
1日30分にしたら、孤独感と落ち込みが減った
アメリカの大学生143人を対象にした実験では、参加者を二つに分け、一方には、Facebook、Instagram、Snapchatをそれぞれ1日10分までに制限してもらった。もう一方は、いつも通りに使った [1]。
3週間後、SNSを制限したグループでは、いつも通りに使ったグループと比べて、孤独感と抑うつの度合いが下がっていた。
ただし、これは大学生だけを対象にした実験で、期間も3週間と短い。誰にでも同じ変化が起きるとは言い切れない。
やめた人は、少しだけ幸せになっていた
もっと大きな実験もある。アメリカで、Facebookを使っている人たちに、お金を払って4週間アカウントを止めてもらった実験だ [2]。
止めた人たちは、オンラインで過ごす時間が減り、そのぶん家族や友人と過ごす時間などが増えた。そして、幸福感などの主観的なウェルビーイングが、わずかに高くなった。実験が終わったあとも、Facebookを使う時間はしばらく少ないままだった。
一方で、ニュースについての知識は少し減っていた。SNSは、悪いことだけをしているわけではない。
SNSを「やめる」か「続ける」かではなく、
どれくらい使うかを、自分で決めているか。
やめるのではなく、減らす
二つの実験に共通しているのは、SNSを完全にやめなくても、使う時間を減らすだけで変化があったことだ。
僕がやってみたいのは、こんなことだ。
- 時間を決める:1日に見る時間の上限を決め、スマホの機能で制限する
- 場面を決める:寝る前と、起きてすぐは開かない
- 使い方を決める:眺めるだけではなく、誰かとやりとりするために開く
「何もしない時間は、本当に無駄なのか」で書いたように、空いた数分は、スマホで埋めなくてもいい。ぼんやりする時間にも、意味があるのかもしれない。
SNSは、やめなくていい。
ただ、自分が使っているのか、使われているのかには、気づいていたい。
見る時間を決めるのは、アプリではなく自分だ。
参考
1. Hunt MG, Marx R, Lipson C, Young J. (2018). No more FOMO: Limiting social media decreases loneliness and depression. Journal of Social and Clinical Psychology, 37(10), 751–768.
2. Allcott H, Braghieri L, Eichmeyer S, Gentzkow M. (2020). The welfare effects of social media. American Economic Review, 110(3), 629–676.