DHEAは「若返りホルモン」なのか。研究と日本での扱いを整理する
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DHEAは、海外で「若返りホルモン」「マザーホルモン」として売られてきたホルモンです。年齢とともに下がるのは本当です。では、補えば若返るのでしょうか。
QUIZDHEAを2年間補った高齢者では、体力や生活の質がはっきり改善した。答えを見る
×。意味のある改善はなかった。
高齢の男女144人の2年間の試験。体組成、体力、インスリンの効きやすさ、生活の質に意味のある改善は見られなかった。
目次
DHEAとは何か
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、おもに副腎でつくられるホルモンで、血液中では硫酸がついた形(DHEA-S)で多く流れています。体の中でテストステロンなどのアンドロゲンや、女性ホルモンの「もと」になりますが、DHEAそのものの働きは弱いとされています [1]。
コレステロールからDHEAを経てテストステロンができる流れは、チロシンとアンドロゲンの記事に図で書いています。
20代がピーク。70代では大きく下がる
11〜89歳の男性981人、女性481人の血液を調べた研究では、DHEA-Sは男性では20〜24歳、女性では15〜19歳でいちばん高く、その後は男女とも年齢とともに下がっていきました。70歳を過ぎると、男性で約670ng/mL、女性で約450ng/mLと、ピーク(男性約3,470ng/mL)の数分の一でした [2]。
| ピークの年代 | ピークの値 | 70歳以上 | |
|---|---|---|---|
| 男性 | 20〜24歳 | 約3,470 ng/mL | 約670 ng/mL |
| 女性 | 15〜19歳 | 約2,470 ng/mL | 約450 ng/mL |
これは、違う年代の人を同時に比べた研究です。同じ人を何十年も追ったものではありません。
「若返りホルモン」は、試験で確かめられたのか
年をとると下がる。だから補えば若さを保てるのではないか。そう考えられて、DHEAは「若返りホルモン」と呼ばれ、海外ではサプリとして売られてきました。
これを確かめた試験があります。DHEAが低い高齢の男性87人と女性57人を、DHEA、少量のテストステロン(男性のみ)、偽薬に分けて2年間続けたランダム化比較試験です。結果は、DHEAにも少量のテストステロンにも、体組成、体力、インスリンの効きやすさ、生活の質について、意味のある改善は見られませんでした [3]。
一部の骨密度がわずかに上がった一方で、DHEAを飲んだ男女では、善玉(HDL)コレステロールが下がっていました [3]。
POINT
「下がるから補う」は、もっともらしく聞こえる。でも2年間の試験では、若返りと呼べる変化は見られなかった。
女性の更年期での研究
更年期や閉経後の女性を対象にした28の試験(1,273人)をまとめたコクランレビューでは、DHEAは偽薬と比べて性機能をわずかに改善した一方、生活の質は改善せず、更年期症状への効果ははっきりしませんでした。そして、にきびなどのアンドロゲンによる副作用が増えていました [4]。
QUIZ日本では、DHEAは食品のサプリとしては売れない、医薬品扱いの成分だ。答えを見る
○。個人輸入にも確認が必要。
厚生労働省は、数量に関係なく個人輸入に確認が必要な成分の一覧にDHEAを入れている。
日本では医薬品の扱い
日本では、DHEAは食品としては売れず、医薬品として扱われる成分です。厚生労働省は、医師の処方や指示によらない自己使用で健康被害や乱用につながるおそれが高い成分として、DHEAを、数量に関係なく個人輸入に確認が必要な成分の一覧に入れています [5]。
また、DHEAをとるとドーピング検査で陽性になることがあるため、競技をしている人は特に注意が必要です [6]。
まとめ
- DHEAは副腎でつくられるホルモンで、テストステロンなどの「もと」になる
- 20代前後をピークに、年齢とともに大きく下がる
- 高齢者に2年間補った試験では、体組成、体力、生活の質の改善は見られなかった
- 女性では性機能のわずかな改善と、にきびなどの副作用の増加が報告されている
- 日本では医薬品扱いで、個人輸入にも厚生労働省の確認が必要
疲れや性欲の低下などが気になるときは、サプリで補う前に、医療機関で原因を調べてもらってください。テストステロンについてはこちらの記事にまとめています。
参考文献
1. Turcu, A. F., Rege, J., Auchus, R. J., & Rainey, W. E. (2020). 11-Oxygenated androgens in health and disease. Nature Reviews Endocrinology, 16(5), 284–296.
2. Orentreich, N., Brind, J. L., Rizer, R. L., & Vogelman, J. H. (1984). Age changes and sex differences in serum dehydroepiandrosterone sulfate concentrations throughout adulthood. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 59(3), 551–555.
3. Nair, K. S., Rizza, R. A., O'Brien, P., et al. (2006). DHEA in elderly women and DHEA or testosterone in elderly men. New England Journal of Medicine, 355(16), 1647–1659.
4. Scheffers, C. S., Armstrong, S., Cantineau, A. E. P., Farquhar, C., & Jordan, V. (2015). Dehydroepiandrosterone for women in the peri- or postmenopausal phase. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2015(1), CD011066.
5. 厚生労働省. 医薬品等の個人輸入について(数量に関わらず厚生労働省の確認を必要とする成分).
6. 国立健康・栄養研究所. 「健康食品」の安全性・有効性情報:DHEA.
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