スクワットは膝に悪いのか。深さと「膝はつま先より前に出すな」を研究で確かめる
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「深くしゃがむと膝を痛める」「膝はつま先より前に出すな」。スクワットの常識として、よく聞く2つです。研究を調べると、どちらも少し違う姿が見えてきました。
QUIZ膝がつま先より前に出ないようにスクワットすると、体全体の負担は減る。答えを見る
×。股関節と腰の負担が増えた。
すねの前に板を置いた実験。膝の負担は減ったが、上体が前に傾き、股関節と腰にかかる負担が大きく増えた。
目次
「スクワットは膝に悪い」は本当か
「スクワットは膝に悪い」「深くしゃがむと膝を痛める」「膝はつま先より前に出すな」。ジムでも本でも、よく聞く注意です。スクワットとDHEAの記事に続いて、今回はスクワットと膝の関係を研究から確かめます。
深くしゃがむと、膝は傷むのか
しゃがむ深さと、膝や背骨にかかる負担を調べた164以上の論文をまとめた2013年の総説があります。結論は、深いスクワットが軟骨の傷みや変形性関節症などを引き起こすという心配には、根拠がないというものでした [1]。
総説によると、膝のお皿(膝蓋骨)の裏にかかる圧迫の力がいちばん大きくなるのは、膝の角度が約90度のあたりでした。それより深く曲げると、太ももの後ろとふくらはぎが触れ合い、腱が骨に巻きつくような形になって、力が広い面に分かれると考えられています [1]。
また著者たちは、浅いハーフスクワットやクォータースクワットでは重いおもりを持ちやすく、そのぶん膝や背骨への負担が大きくなりうる点も指摘しています [1]。
POINT
深くしゃがむこと自体より、「浅くして重くしすぎる」ほうが気をつけるところかもしれない。
ただし、これは計算や遺体の研究、選手の調査をまとめたもので、深いスクワットが誰にとっても安全だと保証するものではありません。痛みが出る深さまで無理に下げる必要はありません。
膝をつま先より前に出さないと、どうなるか
膝がつま先より前に出ないよう、すねの前に板を置いてスクワットをした実験があります。膝の前への動きを止めると、膝にかかる負担は減りましたが、上体が前に大きく傾き、股関節と腰にかかる負担が大きく増えました [2]。
膝を守ろうとして、腰に負担を回してしまう可能性がある、ということです。足首が硬い人や、脚の長い人ほど、膝が前に出るのは自然な動きです。「膝がつま先を越えたら失敗」と考えなくていいと思います。
QUIZ深くしゃがむフルスクワットは、ハーフスクワットよりお尻の筋肉が大きく増えた。答えを見る
○。約6.7%対約2.2%。
日本の男性17人が週2回・10週間続けた研究。太ももの前の増え方は、どちらも同じくらいだった。
深いスクワットは、お尻と内ももが育った
深さによって、育つ筋肉も違いました。トレーニング経験のない男性17人を、深くしゃがむフルスクワットと、浅いハーフスクワットのグループに分け、週2回・10週間続けた日本の研究です [3]。
| 筋肉の体積の増え方 | フルスクワット | ハーフスクワット |
|---|---|---|
| お尻(大殿筋) | 約6.7% | 約2.2% |
| 内もも(内転筋) | 約6.2% | 約2.7% |
| 太ももの前(膝を伸ばす筋肉) | 約4.9% | 約4.6% |
太ももの前はどちらも同じくらい増えましたが、お尻と内ももは、フルスクワットのほうが大きく増えていました。一方、太ももの裏(ハムストリングス)は、どちらでも増えませんでした [3]。
膝が痛い人にとっての筋トレ
膝の痛みがある人にとっても、脚を鍛えることは避けるべきものではありません。変形性膝関節症の人の運動療法をまとめたコクランレビューでは、運動は痛みを減らし、体の機能や生活の質を改善するという結果でした [4]。
ただし、すでに痛みや病気がある人は、どの運動をどれくらいするかを、医師や理学療法士と相談しながら決めてください。痛みが強くなる動きは続けないでください。
まとめ:膝を守るスクワットの考え方
- 深いスクワットが膝の軟骨を傷めるという心配には、研究上の根拠がなかった(総説)
- 膝のお皿の裏への圧迫は、膝の角度90度あたりで最も大きい
- 膝をつま先より前に出さないようにすると、膝の負担は減るが、股関節と腰の負担が大きく増えた
- フルスクワットは、ハーフよりお尻と内ももが大きく育った
- 膝に痛みがある人は、深さや重さを専門家と相談して決める
僕は、痛みの出ない範囲で、できるだけ深く、重さは控えめにしてしゃがむようにしています。スクワットとホルモンの話はDHEAの記事に、たんぱく質のとり方はプロテインの選び方にまとめています。
参考文献
1. Hartmann, H., Wirth, K., & Klusemann, M. (2013). Analysis of the load on the knee joint and vertebral column with changes in squatting depth and weight load. Sports Medicine, 43(10), 993–1008.
2. Fry, A. C., Smith, J. C., & Schilling, B. K. (2003). Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. Journal of Strength and Conditioning Research, 17(4), 629–633.
3. Kubo, K., Ikebukuro, T., & Yata, H. (2019). Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes. European Journal of Applied Physiology, 119(9), 1933–1942.
4. Fransen, M., McConnell, S., Harmer, A. R., Van der Esch, M., Simic, M., & Bennell, K. L. (2015). Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2015(1), CD004376.
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