2026.10.06 / BODY / SLEEP

休日の「寝だめ」で、睡眠不足は取り返せるのか

約5分で読めます(目安)

平日は5時間しか眠れない。そのぶん、土日に昼まで寝る。

「寝だめには意味がない」という話もよく聞きます。でも、研究を調べてみると、答えは一つではありませんでした。何を見るかによって、答えが変わるのです。

目次

寿命で見ると、寝だめは「埋め合わせ」になっていた

スウェーデンで4万3千人あまりの大人を、最長13年追跡した研究があります [1]。

65歳未満では、毎日5時間以下しか眠らない人は、毎日6〜7時間眠る人より死亡リスクが高くなっていました。ところが、平日は5時間以下でも、週末に長く眠っていた人では、死亡リスクは高くなっていませんでした。65歳以上では、睡眠時間と死亡リスクの関係そのものが見られませんでした。

ただし、これは睡眠時間を自己申告で答えてもらった観察研究です。週末に長く眠れる人は、生活に余裕があるなど、ほかの違いがあるのかもしれません。

代謝で見ると、寝だめでは戻らなかった

一方、アメリカで行われた実験では、違う結果が出ています [2]。

参加者を、十分に眠るグループ、ずっと睡眠を短くするグループ、平日は短くして週末は好きなだけ眠るグループに分け、代謝の変化を調べました。すると、睡眠を短くし続けたグループでは、インスリンの効き(インスリン感受性)が約13%低下しました。そして、週末に好きなだけ眠ったグループでも、インスリン感受性の低下は防げませんでした。筋肉や肝臓のインスリン感受性は、むしろほかのグループより悪くなっていました。

こちらは少人数で、期間も短い実験です。それでも、睡眠不足が続くとき、週末の寝だめは代謝を守る方法にはならないことを示しています。血糖とインスリンの話は、「血糖値は、なぜこれほど健康に重要なのか」に書きました。

二つの研究は、矛盾しているのか

一見すると、反対のことを言っているように見えます。でも、二つの研究は見ているものが違います。

研究見ているもの寝だめは
スウェーデンの追跡研究長い年月の死亡リスク埋め合わせになっていた(関連)
アメリカの実験数週間の代謝(インスリン感受性)埋め合わせにならなかった

だから、「寝だめは意味がない」とも「寝だめで取り返せる」とも言い切れません。言えるのは、寝だめは「ないよりはまし」かもしれないが、睡眠不足の影響をすべて消すものではないということです。

寝だめの副作用:体内時計がずれる

週末に遅くまで寝ると、起きる時間が平日と大きくずれます。平日と休日の睡眠の時間帯のずれは、「社会的時差ぼけ(ソーシャル・ジェットラグ)」と呼ばれています [3]。毎週末、時差のある国に行って帰ってくるようなものです。

休日に昼まで寝ると、日曜の夜に眠れず、月曜の朝がつらくなる。「日曜の夜が憂うつなのは、なぜか」で書いた日曜の夜の重さにも、こうしたずれが関わっているのかもしれません。

公的な目安:成人は6時間以上

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は、適切な睡眠時間には個人差があるとしたうえで、6時間以上を目安としています。また、時間だけでなく、朝起きたときに休まったと感じられるか(睡眠休養感)も大切にするよう勧めています。高齢者は、寝床にいる時間が8時間以上にならないことが勧められています [4]。

まとめ:取り返すより、そろえる

平日の不足を週末に取り返すより、平日の睡眠を少しでも増やし、起きる時間を休日もなるべくそろえる。どうしても週末に眠りたいときは、昼まで寝るより、早めに寝床に入るほうが、体内時計のずれは小さくて済みそうです。

眠る時間を確保できたら、寝室の音と光も減らしておきたいところです。耳栓とアイマスクの選び方は「耳栓とアイマスクの選び方」にまとめました。

参考文献

1. Åkerstedt T, Ghilotti F, Grotta A, et al. (2019). Sleep duration and mortality – Does weekend sleep matter? Journal of Sleep Research, 28(1), e12712. doi:10.1111/jsr.12712

2. Depner CM, Melanson EL, Eckel RH, et al. (2019). Ad libitum weekend recovery sleep fails to prevent metabolic dysregulation during a repeating pattern of insufficient sleep and weekend recovery sleep. Current Biology, 29(6), 957–967. doi:10.1016/j.cub.2019.01.069

3. Wittmann M, Dinich J, Merrow M, Roenneberg T. (2006). Social jetlag: misalignment of biological and social time. Chronobiology International, 23(1–2), 497–509. doi:10.1080/07420520500545979

4. 厚生労働省. (2024). 健康づくりのための睡眠ガイド 2023.